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感性工学とは?

「感性工学」って、面白そうだけど、

いったいどういう学問なの?とよくご質問をいただきます。

感性工学とは、どういう学問なのか?

感性工学で、どうやってブランディングの研究を行うのか?

感性工学マーケティング・マネジメント部会の趣旨を

部会長の小山雅明より、お伝えさせていただきます。

「感性工学」と密接な関係のあるノーベル賞受賞の「行動経済学」

昨年ノーベル経済学賞を受賞した「行動経済学」は、人間の不合理な行動から経済原理を読み解く試みをしています。人間は合理的に考えて合理的に行動する——従来の経済学は、人間の経済行動は合理的な思考から生じることを前提としてきました。例えば、「人は安くて近い店に行き、高くて遠い店には行かない」という前提で人間の経済行動を考えていました。

 

ところが、遠くて交通の便が悪く、なおかつ高くて小さな店であるのにも関わらず、常に行列が途切れない不思議な店が、世の中には存在します。その繁盛の秘密を合理思考的な経済原理で見ても、最適解は求められません。そのような人間の不合理な消費行動に視点を当てて、これまでとは異なる経済原理を説くのが行動経済学です。

 

感性工学は、行動経済学からさらに踏み込んで、人間に経済不合理な行動を起こさせている、人間の「感性」にクローズアップした学問領域です。「なぜだかわからないが流行っている」という思考停止に陥ってしまえば、経済活動に応用することはできません。その人間が起こした行動の原因となる「感性」を生じさせている要因を丁寧に解き明かすことで、あらゆる事象で応用可能な、人間の感性の公式を解き明かすことを目指しています。

合理性のない人間の行動は工学的に読み解けるのか?

「このお店センスいいね」「なんとなく居心地がいいね」

街中の飲食店などで、このような会話を耳にしたことのある経験が、誰にもあるのではないでしょうか?むしろ、自分でもそんな会話を交わした覚えのある人も、きっといるはずです。普段わたしたちは何気なく「センスがいい」とか「なんとなく居心地がいい」などという自分の感じる感覚を、あいまいな言葉で表現します。それは語彙力のあるなしとかの問題ではなく、個人の感じる感覚は、論理的な言菓にはできない「感性」の部分から生じるからです。あるいは、「勘が働いた」「運がよかった」という具合に、

個人の体験をあいまいな言葉で表現することも、私たちは日常的に行っています。これも「感性」から生まれる感覚であり言葉であります。これまでは、このような人間の感性の部分から生まれる感覚を、畢的な研究による再現性を良しとする科学として扱うことが困難とされてきました。そのため、人間の感性部分における研究の多くは、人文系の学問による事象収集が主なものであったのです。

ところが、人間の感性を数理モデル、質的な研究の見直しにより、工学的に解き明かす取り組みが始まりました。それを体系的化した科学が、「感性工学」です。江戸時代後期の平戸藩藩主・松浦静山は、「勝ちに不思議な勝ちあり。負けに不思議な負けなし」という言葉を残しています。私は30年以上、集客コンサルタントとして全国を回る中で、「流行らないお店」「ヒットしない商品」は、当たり前のことをやっていない、負けるべくして負けているという事実を目の当たりにしてきました。ところが、「なぜこの店が繁盛しているのかわからない」「なぜこの商品がそんなに売れるのかわからない」という「不思議の勝ち」を、いやというほど見てきました。歯科医院でも同じことが起こっています。最新診療をよ<学び技術があるのに集患できない歯科医院がある一方、技術など関係なく高額な自費診療患者を次々と集患しつづける歯科医院もあります。

結局患者さんは、技術の良し悪しで歯科医院を選んでいるのではないということです。まさに、「勝ちに不思議な勝ちあり」です。この「不思議の勝ち」を、工学的に読み解くために、感性工学による研究を続けています。

「感性工学マーケティング」「感性工学マネジメント」

不合理な人間の行動が、「不思議な勝ち」を生み出しています。その不合理さを感性工学で検証するために、感性工学マーケティング・マネジメント部会を立ち上げました。

この部会では、感性工学によるマーケティング・マネジメントの研究を行うために、3つのテーマを設けました。

 

このテーマに基づいて、「不思議な勝ちを生み出しブランディングに成功している」店舗・医院の科学を解明していく活動です。

■感性距離は、商圏・診療圏の適正化を考える上で重要なファクターです。人間は「知らない場所」「行きたくない場所」は心理的に遠く感じるものです。この感性的に受け取る距離感を科学することで、「遠くても通いたくなる医院」とはどのようなものか、数理的に解明できるはずです。

 

■感性時間は、「楽しい時間はあっという間だが、退屈な時間は永遠」という人間の時間に対する感覚のこと。これを研究することで、「退屈をしない待合室」「待つ感覚のない待ち時間」づくりに役立てられるのではないかと考えます。

 

■感性信頼度は、人間が他人に対する信頼感を生み出す要因を研究するものです。歯科医院の場合、患者さんが歯科医師に対して抱く信頼感とはどのようなものかを、検証・実証化していきます。

このような感性尺度を大きな柱として、様々な角度から分析・調査・実験を行い、得られたデータの多変量解析等を行い、ブランディングの解明に挑戦していきたいと考えています。部会当日の中で、みなさまと楽しく議論しながら、歯科医院ブランディングのワクワクする未来を、共に見ていきましょう。

感性工学マーケティング・マネジメント部会

部会長小山雅明