きぬた歯科 きぬた院長 インタビュー
きぬた歯科 きぬた泰和院長(談)
看板はインターネットよりもローコストで、圧倒的に認知度が高いリーチが得られる最強のツール。
僕がそのようなことを口にすると、「きぬたさんはお金があるからたくさん看板を出せるけど、うちは金がないからできません」という声が返ってきます。
そうではありません。
大きな予算をかけなくても、しっかりと看板のポテンシャルを見極め、戦略的に活用すれば必ず集客効果が出てきます。
例えば、自店舗を中心に地図上で、半径何キロを商圏と設定し、マップ上にある幹線道路や通行量の多い地域を4か所ぐらい選びます。そこに野立て看板を設置するわけです。商圏の東西南北4隅に看板を置くと考えるのです。すると半径何キロという商圏全体をカバーできる。商圏内の人に自店舗の情報を告知できるわけです。間違いなく効果が出る。商圏内で認知され、それが集客に結び付いてくる。
4本の野立て看板を設置すると考えるなら、広告費用は年間100万円ぐらいです。インターネット広告の10分の1でできます。しかも僕の経験から言えば、抜群の集客効果を生み出す。100万円の広告費で、5倍10倍の売り上げアップが期待できる。「かけるお金がないからできない」などと言っていては、みすみすチャンスを逃すばかりです。
ただし、一気に爆発的に効果が上がるわけではありません。徐々に徐々に集客に結び付いてきます。
ところがほとんどの人は即効性を求める。看板を立てれば、バーっとあっという間に認知度も上がって、すぐに集客に結び付くという期待をします。瞬間湯沸かし器みたいなものです。
ところが看板は、焼き芋みたいなもの。少しずつ燃えてくる。徐々に熱くなってくるものです。焼き芋はいったん熱くなるとなかなか冷めにくい。看板はそのようなツールだと考える必要があります。
野立て看板がなぜブランディングに直結する広告媒体なのか?
野立て看板を使った最大の効果は、地域内における認知度アップ、すなわちエリアブランディングの効果を得やすいところにあります。
「ブランディング効果」とは、企業名やサービス内容を「消費者の記憶に残す」ことを意味します。すなわち、「ブランドとは記憶の総和」であり、あるものへのブランド評価は、「企業や団体、サービスを記憶に残している人の数」に比例するものになります。それは、企業の情報を「消費者の記憶に残す」ことによって、可能となっていくもの。
ではここで、実際に野立て看板を使って商圏内の消費者に企業名を記憶に残し、集客数を大きく伸ばした葬祭企業の事例を紹介しましょう。野立て看板が、消費者に対する「ブランド効果」をいかにつくり出したかを見てください。
野立て看板で商圏を囲い込む
龍ケ崎市は東京都心から車で1時間強の距離にある、人口7万6000人の地方都市です。都心に近いということで、ベッドタウンが形成されるとともに、新しい住人が増えています。その新しい「家族」をターゲットに、大手の葬祭会社が進出してきました。
このような図式は、多くの地方都市で見ることができます。地元密着で地元の方々と寄り添いながら歩んできた老舗の葬祭企業は、どうしても大手の全国的な知名度の前に苦戦しがちになります。
「すがはら葬祭」もそのような地元密着の老舗企業でした。
同社は、地元密着企業としての強みを発揮するために、野立て看板で商圏を囲い込む戦略をとることにしました。具体的には、同市の人口が多い地域の主要道路脇に、複数の野立て看板を設置することです。なぜこれが効果的なのかというと、地域の住人が「よくこの看板を目にする」状況をつくり出すことができるからです。すなわち、「メモリーインプット効果」です。
どこに行っても同じ店を見ることで、いつの間にか消費者の記憶にその店舗が残ることになります。野立て看板の複数設置は、「どの道を通っても同じ看板を見かける」状態を生み出します。
実際に行ったのは、龍ケ崎市の中心部を取り囲むように、全部で6基の野立て看板を設置したことでした。そして、この効果はすぐに表れました。
看板設置して6か月経つ頃から、事前相談件数が増えてきました。野立て看板設置前と比べ、多くの地域住人に自社の認知度が上がってきたことを実感することになりました。
特に同社が看板効果をひしひしと感じたのが、同葬祭で相談に訪れた顧客に「なぜ、すがはら葬祭を選んだのか」と尋ねると、多くの顧客から、「看板をいつも見ていて、良さそうな葬祭会社だと思ったから」という答えが返ってきたことだったのでした。
最大の集客効果を出すための
感性工学による科学的取り組み
ブランド力
=
認知度
×
好感度
ブランド力は、「認知度×好感度」で表すことができます。つまりブランド力を高めるためには、「認知度」と「好感度」の両方を高めることが大事になってくるということです。
でも実は、ブランド評価の多くを占めるのは、好感度ではなく認知度なのです。このあたりを多くの人が誤解していますが、好感度ばかりを高めても、それだけで実際の集客には結び付きません。現実的な集客につながるのは、「認知度の高さ」なのです。
こちらのイメージ図解をご覧ください。
ある特定の商圏において、認知度は低いが好感度が高い店舗と、認知度が高く好感度がそれなりの店舗では、商圏内の住人に与える「ブランド力」が大きく異なっていることが視覚的に理解できるのではないでしょうか。すなわち、認知度が低く好感度が高い店舗は、いわゆる「常連の顧客のみ知っている店」であり、認知度が高く好感度がそれなりの店舗は、「地域で有名な店」であると言ってもいいでしょう。そして、認知度が高ければ、好感度は後からいくらでも高めることができるということに留意してください。
集客、ブランディングは、とにかく「認知度を高める」ことを最初に行わなければなりません。
特に、提供するサービスや内容に大きな差がない業種において、「まず認知度を高める」施策は大きな効果を得やすいのです。
競合に比べて立地や商圏規模など、様々な不利な条件にありながら、野立て看板によって認知度を高め集客数を大きく伸ばし、地域でのブランド力を高めることのできた企業や店舗の事例が多数あります。
消費者の感性を科学する
「感性工学」で「集客する看板」を考える
感性工学は、集客を最大化するための非常に強力な武器となります。
そもそも人の「感性」を数値化するというのは、測定する感性システムの現在地を測るということです。すなわち、環境の変化、時間の変化で移り変わる感性を確率的に捉え、「個人の消費行動」と「全体の消費行動」をモデル化していくわけです。
野立て看板を集客装置とするためには、システムとしての感性という考え方から、広告表現とデザインを作り出す必要があるのです。そのひとつの例として、「看板偏差値」という理論があります。
看板偏差値は、看板をひとつの能力を持った主体と考え、通行人(消費者)が気付き、惹きつけられ、来店行動を取る確率の高い看板を、「偏差値」という概念で可視化するものです。
集客装置として看板を機能させるためには、「通行人はその看板のどこを見ているか」「その看板を見て、なにを感じているか」を、正しく測定する必要があります。これまでその検証は、看板製作業者や店舗オーナーの視点で行われることが普通でした。業者による看板検証は、業者や職人の勘に頼ることが多く、店舗オーナーによる検証は、オーナー個人の好みや感性で行うことがほとんどです。そこには、通行人の目線に立った「看板の見え方」検証が、おざなりにされる傾向が強い。
しかし、看板は、通行人、すなわち地域の消費者が見るもの。通行人に、看板を通して店舗の魅力を伝え、自店舗の顧客となってもらうことが目的としてあるわけです。つまり、通行人がその看板をどう見るか、看板の内容をどう感じるか、という「通行人目線」による看板検証が求められるのです。
言い方を変えると、通行人は看板のどこに注目し、どのように感じるか、ということを客観的に立証する必要があるということです。そのためには、人間の感性を科学的に捉えるノウハウが必要とされます。看板を通した集客を科学的に分析することで生まれたのが、通行人の感性を数値化する「看板偏差値法」という概念なのです。
看板偏差値法の概念をひとことで説明すると、「看板をひとつの能力を持った主体と考えることで、顧客満足度の高い看板を数値化して示す」ことになります。
通行人目線による「魅力的な看板」「店舗につい足を運んでしまう看板」とはどういうものか、ということを、客観的な数字として表したものです。
例えば、顧客満足度(CS)を積分で求めることで、看板を主体としたとき、通行人に対してどのようなコミュニケーション(情報発信)をとればよいかを、数値化するのです。このようにロジックで看板を考えることで、個人の経験や感覚での看板作りとはまったく次元の異なる看板ができます。
感性を数値化し、可視化するこのような感性工学の取り組みは、看板を集客装置にするためには必須のメソッドとなります。
「この看板見たことある」から
「この会社知っている」に変わった
湘南の不動産会社の事例
江の島から逗子までの海沿いの道路を車で走ると、シンプルでスタイリッシュなデザインの野立て看板を多く見かけます。掲出されるコピーは英語表記。なんの広告なのか、一見すると不明。ですが、湘南という地域のブランドに極めてマッチしたデザインの看板になっています。
看板を掲出した企業は、「ケーエステート」という不動産会社です。
同社は海沿いを中心に、藤沢、辻堂といった地域にも、広く看板を設置しています。その看板は、湘南のブランドイメージを強調するようなスタイリッシュなデザインのものになっています。一般的な看板のような、企業の事業案内や写真などの情報掲載を省き、シンプルに(しかしスタイリッシュに)英語表記の社名とロゴマークを掲出しているのです。
知らない人がこの看板を目にすれば、湘南という地域のブランド看板だと思う人もいるかもしれません。そのぐらい、湘南のイメージにぴったりなデザインの看板。地域に溶け込んでいます。
一般的に看板は、背景に溶け込んでは広告としての効果は最大化されません。地域の景色に同化してしまえば、看板の視認性という面からも、効果が得られにくいものです。だから、視認性の良い色やデザインを野立て看板は使用することになります。視認性が良いほど、看板の情報が多くの人に認知され、記憶に残りやすくなるからです。ですが同社は、この看板デザインのセオリーとは異なるデザインで看板を設置しています。本数を多く設置することで、地域のブランドにマッチする「インパクトの強さ」を持つことを目指しているわけです。つまり、「認知度×好感度」でブランドを作り出そうという意図で、このような野立て看板戦略を行っているのです。
業態認知の野立て看板、
複数設置で商圏が広がった!
店舗に至る幹線道路と、並行して走る国道上に、およそ3キロメートルごとに5本の野立て看板。この2つの道路に挟まれた地域には、工業団地やゴルフ場が点在し、市街地であっても昼夜問わず交通量の多い場所です。そこに、地元の中古車販売業「ミナミ自動車」が、個人向けの「カーリース」の案内広告の野立て看板を5本設置しました。消費行動のきっかけとなる看板の内容について考えてみましょう。これは自分が消費者としてなにかのサービスを利用するまでの過程を追体験すれば、たやすく理解できるでしょう。「企業名」「店名」ではなく、「そこがどんな業態の企業・店舗で、具体的にどのようなサービスを行っているのか」という「私にとって価値のある情報」を消費者は求めています。必要なのは、消費者が望んでいる「価値ある情報」です。ミナミ自動車が設置した野立て看板は、「新車リース」「手軽な月額費用」「店名」「地元の企業(位置情報)」を、過不足なく発信する内容になっています。つまり、消費者(通行人)が「知りたい情報」を掲示することで、看板を認知した通行人は興味・関心を抱きやすく、消費行動に移りやすくなるわけです。
本当にそのようにうまくいくのでしょうか?
事実、ミナミ自動車では、看板を設置してすぐ、「大きな看板を見て知った」という人が、同店に来店し即契約に至ったそうです。特筆すべきは、そのお客様は、これまで同店の商圏としていた場所からは離れたところに居住している方でした。
現在同店舗は、看板設置前に比べ集客数が格段に伸びています。特定の地域内に複数本の野立て看板設置は、地域内での認知度を高め商圏を広げる効果があることが、この事例ではっきりと出ています。